マウスやラットでは1匹の母親から産まれてくる子供の数は数匹から十数匹であるが、ホルモンを投与することで20個から30個以上もの排卵を促すことができる。標準的な過排卵法として、eCG(ウマ由来の性腺刺激ホルモン:卵胞の発達を促す作用)とhCG(ヒト由来の性腺刺激ホルモン:排卵を促す作用)の組み合わせが多用されている。

近年、インヒビンの働きを抗血清(抗体を含む血清)で阻止することで、齧歯動物自身のFSHを過剰に放出させて排卵数を増加させる過排卵法が利用され始めました。

AIMAは、インヒビンのポリクローナル抗体である抗血清と同様に齧歯動物自身のFSHで卵子を発育させるために母体に優しく、過排卵効果は抗血清よりもマイルドです。また抗血清と異なり、同一品質の抗体が大量に作製できることと、動物からの微生物感染の心配のないクリーンな試薬という利点があります。

マウスを用いた研究では、このAIMAを投与することで子供の数が1.4倍に増加しました。 また、加齢動物の繁殖にも効果が認められました。

過排卵処理の利きにくいラット系統でも効果的でした!

AIMAの0.1mLまたは0.2mLを成熟雌に投与して雄と交配させたところ、生理食塩水を投与したコントロールで11.8匹の産子数に対して14.3匹または17.1匹であり、AIMAを0.2mL投与すると、コントロールよりも有意に多い1.4倍の産子が得られました。一方で、従来の過排卵法としてPMSGとhCGを48時間間隔で投与した場合は、妊娠率が10%~40%で産子数は11匹または8匹であり、増加しませんでした。

抗インヒビンモノクローナル抗体は、貴重なラット各系統の繁殖効率の改善や新規疾患モデルラットの作製などに貢献すると期待できます。

FAQ

使用方法はAIMAだけの投与で済みますか。

発情後期や休止期の動物が利用できれば、AIMAだけで済みます。マウスではプロジェステロンを投与すると、性周期を気にせずに無作為に用いることができます。

AIMAって何?

Anti Inhibin Monoclonal Antibody(抗インビンモノクローナル抗体)の略で頭文字をとってAIMA(アイマ)と呼びます。

抗インヒビン血清とどのように違うのですか。

抗インビン血清はポリクローナル抗体であり、卵子をより多く採取することを目的とします。一方でAIMAはモノクローナル抗体であり、多くの健常胎仔を獲得したい場合に有効です。また加齢動物の繁殖効率を向上させる効果が得られています。